不動産投資と一口にいっても、対象となる物件にはさまざまな種類があります。不動産投資で成功するためには、立地や築年数、利回りといった単純な要素だけで判断するのではなく、複数の視点から慎重に検討し、自分に適した案件を選定することが大切です。
今回の記事では、初心者の方におススメの案件の選び方および成功するためのポイントについてご紹介します。
物件タイプごとのメリット・デメリット
不動産投資における案件選定は大きく分けて3つの要因があります。
- 購入方法(一棟 or 区分)
- 住宅の種類(アパート or 戸建て住宅)
- 築年数(新築 or 築浅 or 中古)
それぞれのメリット・デメリットについてご紹介しましょう。
一棟マンション
メリット | デメリット |
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区分マンション(単身者向けワンルーム)
メリット | デメリット |
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区分マンション(ファミリー向け)
メリット | デメリット |
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アパート
メリット | デメリット |
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戸建て住宅
メリット | デメリット |
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新築・築浅
メリット | デメリット |
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築古
メリット | デメリット |
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このように、不動産投資の中には購入方法や住宅の種類、築年数といった要因により、様々なタイプがあります。自身の投資目的や不動産運用に割ける手間や時間、自己資金額に合わせた物件を見極めることが大切です。
初心者向けの物件とは?
先ほどご紹介した通り、物件はタイプごとに様々なメリット・デメリットがあります。「このタイプの物件であれば間違いはない」というものはありませんが、初心者向けに最適なのは「ワンルームの区分マンション」であるといえます。
その理由は以下の通りです。
1)少額で購入可能でリスクが低い
ワンルームの区分マンションは一棟マンションやファミリーマンションと比較すると少額で購入することができます。自己資金額が少なくても物件を担保にした銀行融資で不動産投資を始めることができ、万一の場合も損失を安く抑えることができます。
2)複数所有することでリスク分散できる
区分マンションは複数を同時に投資できるためリスク分散ができます。例えば、一棟投資であればそのエリアのニーズが下がると、手持ちの部屋全てにおいて空室リスクが高くなってしまいます。しかし、区分マンションであれば、一戸の価値が下がっても、別の戸(案件)で損失を補填することができます。
不動産投資に限らず、投資先を分散させてリスクを軽減する(ポートフォリオを組む)というのは投資においての基本のテクニックです。区分マンションを複数所有することで、そうしたリスク分散が可能になります。
3)修繕費を抑えられる
一棟マンションを所有している場合、マンションの外壁や内装、受水槽や排水管といった共有設備の修繕も全て自身で計画してメンテナンスや修繕をしなければなりません。
他方、区分マンションでは管理組合を通じて修繕積立金を積み立て、管理組合が修繕を担います。それにより、急な修繕で多額の出費が必要になるというリスクを軽減することができます。
また、室内の設備などの専用部分は自身で修繕を行う必要がありますが、ワンルームマンションの間取りはシンプルかつコンパクトであるため、ファミリータイプのマンションと比較すると修繕費が安く済むというメリットがあります。
4)管理しやすい、手間がかからない
一棟マンションや一戸建ては自身で管理を行うか、もしくは管理会社を選定しなくてはなりません。その点、区分マンションは管理会社に管理を一任できるため、特に副業として不動産投資を行いたい人におすすめです。本業が忙しく時間がない場合でも継続しやすい投資といえます。
また、好立地のワンルームマンションであれば、退去者が出てもすぐに新たな入居希望者が現れるため、不動産会社に入居者募集を依頼するコストも安く済みます。
5)売却しやすい
不動産投資のデメリットのひとつに流動性の低さがあります。不動産は現物であるがゆえに、株式や投資信託のように即換金(売却)ができません。売却までに数ヶ月かかることも多く、最悪買い手がつかないケースもあります。
しかし、ワンルームマンションは比較的、物件価格や賃料が低く、需要が高いため売却しやすい傾向にあります。不動産投資において非常に重要な「出口戦略」を立てやすいという点もワンルームマンションの強みです。
初心者が成功するためのワンルームマンション選び
不動産投資初心者におすすめのワンルームマンションですが、どんな物件でも良いというわけではありません。立地や築年数など、さまざまな要素を総合的に評価し、利益を出せる物件を選び出す必要があります。
特に注意したいポイントについて解説します。
アクセスが良く人が集まる立地かどうか
不動産にとって最も重要な要素は「立地」です。特に以下の3点に着目し、ニーズの高い立地であるかどうかを冷静に判断するように心がけましょう。
【1】利便性
特にワンルームに入居する単身サラリーマンにとって、勤務地へのアクセスのし易さは入居物件を選ぶうえで重要な判断基準になります。最寄り駅までのアクセスが徒歩圏内にあるというのが重要です。
また、居住地周辺の利便性も大切な要素となります。
スーパー、コンビニエンスストア、飲食店、病院などの施設が物件の近くにあるかどうかもチェックしておきましょう。
【2】住みやすさ
利便性に加え、閑静である、治安が良いといった点もチェックしましょう。特に女性の場合は駅から物件までの道が暗い、飲み屋や露天街など、人のたまり場が近いいった治安が悪い場所は敬遠されるケースが多いです。
可能な限り現地に足を運び、自身の目でチェックするようにしましょう。
また、決まった日、決まった時間帯だけではなく、平日と週末、昼と夜でどれだけ雰囲気が変わるかを確認することが重要です。
【3】将来性
利便性や住み易さに加えて判断基準としたいのが「将来性」です。不動産投資は通常、数十年スパンの長期投資となりますので、そのエリア自体が将来どのように変容していくかをある程度、予想しておく必要があります。現在は需要があっても、人口減等により入居者(賃借人)が減ってしまうと空室リスクや物件の資産価値や家賃の低下につながってしまうことがあります。
都市開発の対象となっていたり、若年人口が多く、将来人口の増加が期待できるエリアは今後入居ニーズがさらに高まることが期待できます。それにより物件の価値が上がるため、売却時にも利益(キャピタルゲイン)を得られる可能性が高まります。
築年数と設備状況
新築が良いか中古が良いか、という視点で不動産を見る際、やはり入居ニーズが高い新築物件の方が魅力的に映るかもしれません。しかし、先ほどご紹介した通り、新築には新築の、中古には中古のメリットとデメリットがあります。
築年数だけに目を向けるのではなく、住居の部屋の設備や状態、セキュリティなどをひとつ一つ丁寧にチェックし、入居ニーズが本当にあるか、目標とする利益が得られるかを総合的に判断することが重要です。
妥当な利回り
初心者が投資用物件を選ぶ際、まず気になるのは「利回り」の高さかもしれません。利回りが高いということは、それだけ得られる利益も多いことが期待されるのですから当然のことです。
しかし、利回りが高い=優良物件 ではありません。
特に表面利回りはあくまで価格に対する賃料の割合を示すもので、確実にその利益が得られるとは限らないからです。
例えば地方の中古戸建てを購入し、入居者を得ることができれば高い利回りが望めます。しかし、そのような物件は大々的なリフォームが必要になったり、入居者がなかなか現れなかったりというリスクも存在します。結果としては利益が得るどころか、大きな損失を負ってしまう危険性もあるのです。
よって、物件を選ぶ際には利回りの高さにのみ飛びつくのではなく、その利回りが相場と比べて妥当か、その利回りが実際に達成できるような物件であるかを慎重に判断する必要があります。そのためにも複数の不動産(物件)を比較検討し、相場を掴むことが重要になります。
管理が行き届いているか
「不動産は管理で買え」という言葉がある通り、管理の良し悪しも重要な判断基準になります。管理が行き届いていない物件は劣化が早く、家賃低下や空室リスク高くなる可能性が高くなります。特に区分投資では自身で管理会社を選ぶことができませんので、良い管理会社が管理を担っている物件を選ぶことが重要です。
物件を内覧する際には、外壁や内装、共有部分などの管理状況をしっかり見て、修繕や清掃がなされた綺麗な状態であるかどうかを確認するようにしましょう。
初心者は見落としがちな「管理会社選び」の重要性
先ほどご紹介した通り、不動産投資を成功させるためには、物件だけではなくその物件を管理している「管理会社」の質を見極めることが重要です。そのためには上記でご紹介した物件の状態のチェックはもちろんのこと、長期的な建物の修繕や入居者募集、管理など、多岐にわたる不動産管理を実施している管理会社かどうかを判断することが重要です。
特に以下の3点を満たしているかどうかは重要な判断基準となります。
- 空室を埋める提案力がある
- 入居者からのクレームに迅速に対応している
- 退去時の原状回復費用を適正に設定している
不動産(物件)をある程度絞り込んだら、管理会社の良し悪しを見極めるためにも契約前に、上記3点の条件を十分満たしているかどうかを確認するようにしましょう。管理会社と話をし、コミュニケーションを密にすることは管理会社と投資家(オーナー)信頼関係を構築することにも繋がります。
管理会社は不動産投資の重要なパートナーです。不動産(物件)のみに目を向けるのではなく、「信頼できる管理会社」を選ぶ事で、不動産投資はぐっと成功に近づきます。
物件選びを間違えた失敗例
上記でご紹介した通り、不動産投資を成功に導くためには立地や管理状態など多面的な視点から評価し、賃貸ニーズの高い物件を選定する必要があります。
それを怠り、ひとつのメリットのみに飛びつくと思わぬ落とし穴がある場合もあります。
物件選びの段階での具体的な失敗例をご紹介しましょう。
ケース1)会社・大学へ依存した物件選び
物件選定の際には賃貸ニーズがあるかどうかを見極める必要があります。
その視点からは「このマンションは〇〇社が社員寮として借り上げているので空室になる心配はありません」、「近くに〇〇大学があるため安定した賃貸ニーズがあります」と謳われる物件は非常に魅力的に感じられます。
しかし、ひとつの会社や大学に依存して物件を選ぶのは危険です。企業の倒産や大学の移転などでニーズが一気になくなるリスクがあるからです。
たとえその会社や大学が無くなっても賃貸ニーズがある物件であるかどうかを慎重に判断することが重要です。
ケース2)夜間のみ現地調査を行った物件選び
日中は本業の仕事をし、副業として不動産投資を行う場合、現地調査が夜間や週末に限られてしまう、といったケースは多いと思います。
しかし、時間帯や曜日によって、街の「顔」は大きく変わります。
例えば、「昼間は学生が物件前の公園に集まって騒いでいる」、「平日の昼間は、通りに露店が並び騒々しい」といったことがあるかもしれません。
また、動物の糞尿被害も事例として挙げられます。夜間は何事もないように見えたのに、日中になると鳩がベランダで糞尿をしてしまいベランダに洗濯物を干すのもままならないといった例です。
このような物件を選ばないためにも、現地調査は時間帯や曜日を変えて複数回足を運び、さまざまな視点から町の雰囲気や物件の周辺をチェックするようにしましょう。
▼現地調査を3回以上実施した人は実に半数以上!
まとめ
不動産の種類とその特徴をご紹介し、その中から「ワンルーム区分マンション」にスポットを当てて、そのメリットと選定ポイントを解説しました。
ワンルームマンションは、1)比較的価格が低いため購入しやすく売却しやすい、2)入居ニーズが高いため空室や家賃低下のリスクが低い、3)管理が楽、といった利点があり、初めて不動産投資を始める方にはおすすめです。
物件を選定する際には、立地や築年数、管理状態などを総合的に評価すること、また、自身で物件や周辺状況の調査を行い、ニーズの高い物件であるかを判断する必要があります。
それに加え、その物件を管理している管理会社の質を見極めることも重要です。建物管理はもちろんのこと、入居者募集や契約、入居管理も適切に行える管理会社をパートナーとすることで、不動産投資が成功する確率が高まります。