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契約不適合責任とは?不動産売却時の注意点をわかりやすく解説!

 

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契約不適合責任とは、契約に適合しない商品を引き渡した場合に追及される責任のことで、従来の瑕疵担保責任から改正されたものです。
不動産を売却する際に注意すべき契約不適合責任をわかりやすく解説します。

契約不適合責任とは

「契約不適合責任」は、2020年4月に施行された改正民法で新たに登場した用語です。
従来「瑕疵(かし)担保責任」と呼ばれていたものの名称が変わり、内容も一部見直されました。

契約不適合責任とは、契約により引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものである場合に、引き渡した側に生じる責任をいいます。

たとえば、100個の傷のないリンゴを引き渡すとの契約であったにもかかわらず、これに反してリンゴが90個しか納品されなかった場合や、納品されたリンゴに傷がついていた場合に登場するのが契約不適合責任です。

同様に、雨漏りがしない中古住宅を購入する契約をしたにもかかわらず、引き渡された中古住宅が雨漏りしている場合にも、同様に売主に契約不適合責任が生じます。

従来の瑕疵担保責任との違い

従来の「瑕疵担保責任」と「契約不適合責任」とでは、主に次の3点が異なります。

対象物が違う

瑕疵担保責任では、その対象が特定物に限定されていました。
特定物とは、「そのもの」を特定して取引するものことです。

たとえば、中古車や中古住宅は、一般的に「特定物」に該当します。

一般的に、これらはどれでも良いと考えて購入するのではなく、「走行距離1万キロメートルの事故車両ではないこの黒色の中古ベンツ」「千葉県〇〇市〇〇一丁目1番地1号に建っている中古住宅」など、そのものを特定して売買するものであるためです。

一方、「100個のリンゴ」はどのリンゴであっても問題なくおいしく食べられるものであれば良いため、一般的に特定物には該当しません。
このようなものを、特定物に対して不特定物といいます。

契約不適合責任では、その対象が特定物に限定されておらず、不特定物についても対象となります。

対象となる欠陥が違う

瑕疵担保責任では、その責任の対象が「隠れた瑕疵(=キズ)」に限定されていました。

隠れた瑕疵とは、買主が要求されるような注意力を働かせたにもかかわらず発見できなかった瑕疵のことです。

たとえば、先ほど挙げた雨漏り住宅の例であれば、買主が一見しても雨漏りする住宅であることがわからないような場合に、隠れた瑕疵に該当すると考えられます。
しかし、買主がその瑕疵が「隠れた瑕疵」であることを証明することは困難であり、隠れた瑕疵に該当するかどうかがしばしば問題となっていました。

一方で、契約不適合責任は、契約内容に適合していなければ責任の追及が可能であり、瑕疵が隠れているかどうかは関係ありません。
この点で、契約不適合責任は瑕疵担保責任と比べて非常にシンプルであるといえます。

請求できる内容が違う

瑕疵担保責任で買主が売主に対して追及できる責任は、次の2つに限定されていました。

  • 損害賠償請求
  • 契約の解除

一方で、契約不適合責任では次の4つの追及が可能です。

  • 追完の請求
  • 代金減額請求
  • 損害賠償請求
  • 契約の解除

それぞれの具体的な内容については、後ほど詳しく解説します。

請求できる期間が違う

瑕疵担保責任では、瑕疵を知ったときから1年以内に権利行使をする必要があるとされていました。

一方で、契約不適合責任の場合には、原則として不適合を知ってから1年以内に契約不適合がある旨を通知すれば良く、権利行使自体は1年を経過してからでも構いません。

契約不適合責任で買主から請求され得る内容

契約不適合責任で買主から請求され得る内容
契約不適合があった場合に、買主が売主に対して請求することができるものには、次の4つが認められています。

追完の請求

追完の請求とは、次のいずれかを追加で請求することにより、契約内容に適合した目的物の引き渡しを求めることをいいます。

  • 目的物の修補:購入した中古住宅が契約に反して雨漏りをしていた場合に、雨漏りしないよう屋根を直してもらうことなどです
  • 代替物の引渡し:新品の椅子を購入したにもかかわらず椅子の足が折れていた場合に、足の折れていない椅子に交換してもらうことなどです
  • 不足分の引渡し:100個のリンゴを購入したにもかかわらず90個しか入っていなかった場合に、不足していた10個の引き渡しを求めることなどです

このうち、どの方法で追完の請求をするのかは、原則として買主が選択することができます。
ただし、売主は買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることが可能です。

また、契約不適合の責任が買主側にある場合には、買主は履行の追完を求めることができません。

代金減額請求

代金減額請求とは、買主がその不適合の程度に応じて代金の減額を請求することです。
ただし、代金減額請求ができるのは、次の場合に限定されています。

  1. 買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をしたにもかかわらず、その期間内に履行の追完がないとき
  2. 履行の追完が不能であるとき
  3. 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき
  4. 契約の性質または当事者の意思表示により、特定の日時や一定の期間内に履行しなければ、契約した目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき
  5. 買主が催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき

このうち「4」は、たとえば12月25日のクリスマスパーティー用との前提で8号の大きさのクリスマスケーキを注文したにもかかわらず、納品されたケーキが5号であった場合に、当日中に代替物の引き渡しなどの請求をしなかった場合などが該当します。
この場合には、翌日になってから8号のケーキに交換されても契約の目的を達成できないため、履行の追完の催告をすることなく代金の減額請求をすることが可能です。

なお、契約の不適合が買主の責任によるものである場合には、買主は代金減額請求をすることができません。

損害賠償請求

損害賠償請求とは、契約不適合によって生じた損害について金銭の支払を請求することです。

履行の追完や代金減額請求をした場合であっても、これらと併せて損害賠償請求を行うことができます。

契約の解除

契約の解除とは、契約をなかったことにすることです。
債務の全部の履行が不能であるなど一定の場合を除き、原則として先に履行の催告をし、一定期間内に履行がないときに解除をすることができるとされています。

ただし、債務の不履行がその契約および取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、解除をすることができません。

契約不適合責任の期間

契約不適合責任を追及することができる期間は、次のとおりです。

種類や品質の契約不適合

次のいずれかの場合に契約不適合責任を追及するには、買主がその不適合を知ったときから1年以内に不適合である旨を売主に通知しなければなりません。

  • 種類の契約不適合:たとえば地目が宅地であるとの前提で購入契約をした土地の地目が田であった場合
  • 品質の契約不適合:たとえば雨漏りがしないとの内容で契約をした中古住宅が雨漏りする場合や、事故車両ではない自動車の購入契約をしたにもかかわらず事故車両であった場合

なお、1年以内に行うべきなのは不適合の通知のみであり、具体的な請求は次で解説する通常の消滅時効が到来する以前に行えばよいとされています。

数量や権利の契約不適合

次のいずれかの場合に契約不適合責任を追及することができる期間は、通常の消滅時効どおりです。

  • 数量の契約不適合:たとえば100個のリンゴを購入する契約をしたにもかかわらず90個しか納品されなかった場合
  • 権利の契約不適合:自由に利用することができる土地であるとの前提で購入契約をしたにもかかわらず実際には他者の借地権の対象となっていた場合

通常の消滅時効とは、次のとおりです。

  • 権利を行使することができることを知ったときから5年
  • 権利を行使することができるときから10年間

相手が業者である場合

買主が業者などの商人である場合には、一般消費者とは異なる規定が適用されます。

商人間の売買においては、買主は売買の目的物の受領後、遅滞なくその物を検査しなければなりません。
その検査で売買の目的物の契約不適合を発見したときは、ただちに売主に対してその旨の通知を発する必要があります。

仮に、ただちに通知をしなかった場合には、もはや履行の追完の請求や代金の減額の請求、損害賠償の請求、契約の解除など契約不適合責任の追及をすることができません。

契約不適合責任は契約で免責できる?

売主としては、契約不適合責任を問われることのないよう、契約で免責したいと考えることでしょう。
契約不適合責任を免責することができるかどうかは、買主の類型によって次のように異なります。

相手が一般消費者である場合

相手が一般消費者である場合には、原則として契約不適合責任の免除条項を入れることはできません。
これは、消費者契約法により、事業者の債務不履行によって消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項は原則として無効であるとされているためです。

ただし、目的物の種類や品質に関する契約不適合があったとしても、売主が履行の追完や代金減額に応じる場合には、事業者の責任を一部免責する条項は無効にならないとされています。

相手が業者である場合

相手が事業者である場合には、売主の契約不適合責任を免責する特約は原則として有効です。
ただし、売主が知りながら買主へ告げなかった事実については、その責任を免れることができません。

売主が宅建業者である場合

不動産の売買において売主が宅建業者である場合には、たとえ相手方が事業者である場合であっても宅建業者たる売主の責任を免除する特約は無効となります。

これは、宅建業法において、契約不適合責任に関する規定について、買主に不利となる特約は原則として無効となると規定されているためです。

ただし、相手方も宅建業者である場合には、免責が認められています。

売主が検討すべき契約不適合責任への4つの対策

売主が検討すべき契約不適合責任への4つの対策
契約不適合責任を追及されないため、売主は次の4つの対策を検討しましょう。

契約書に売却する不動産の状態を詳細に記載する

契約不適合責任は、契約内容と異なるものを引き渡した場合に追及される責任です。
つまり、契約書に書かれている内容が、契約不適合かどうかの大きな判断材料となります。

そのため、特に中古住宅などの中古品を販売する場合には、販売する物の状態をあらかじめよく確認し、契約書へ明記するようにしましょう。

たとえば、中古住宅を売買する場合には、付帯設備が老朽化していることが少なくありません。
この場合には、付帯設備の状態を詳細に契約書へ記載しておくことで、契約不適合責任を追及されるリスクを減らすことができます。

買主の請求期間の制限を検討する

上で解説したように、契約不適合責任を請求できる期間は、原則として買主が不適合を知ってから1年以内です。
この規定のみを読めば、買主が不適合に気づくのが遅れた場合、契約からかなりの期間が経過してから契約不適合責任を請求される可能性があります。

そのため、契約不適合責任の通知期間を引き渡しから2年間などと制限することを検討すると良いでしょう。
ただし、あまりにも短い期間へと制限した場合には、消費者契約法の規定により無効とされる可能性があるため注意が必要です。

契約不適合責任の免責を検討する

売主が宅建業者ではなく買主が事業者である場合などには、特約によって契約不適合責任を免除する余地があります。
買主の態様によっては、契約不適合の免責を検討すると良いでしょう。

まとめ

疵担保責任から契約不適合責任へと改正されたことで、売買契約において契約書がより重視されることとなりました。

思わぬ契約不適合責任を追及されることのないよう、契約書を作りこむことがより重要となっています。

ただし、あまりにも相手方にとって不利な内容としてしまえば、無効とされてしまうかもしれません。

契約不適合責任とは、引き渡した目的物が契約内容と異なっていた場合に追及される責任です。瑕疵担保責任から契約不適合責任と改正されたことで、より契約書の役割が重要となっています。

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