今回は築古物件を選ぶ際に注意すべき点や、リノベーションする際のポイントを解説します。

 「築古マンション」とといっても、定義はさまざまですが、この記事では新耐震基準以前、つまり1981年以前旧耐震基準で建てられたマンションについて解説します。

古いマンションを選ぶメリット~価格、資産価値、立地

古いマンションを選ぶメリットは、まず何と言っても価格が安価であることです。
建物の価格は新築されたときがもっとも高く、その後の相場(価格)は築年数の経過とともに下落していきます。
マンションの場合、築20年ほどでほぼ底値となり、新築時の約半値ほどになります。
同じエリア、同じグレードのマンションでも、新築と築20年以上の中古では、倍ほどの価格差があるのです。

東日本レインズ 築年数から見た首都圏の不動産流通市場

参照:東日本レインズ 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(http://www.reins.or.jp/pdf/trend/rt/rt_201902.pdf

築古マンションは購入時にすでに価格が下げ止まりしているので、将来、仮に売却することになったときに損をしにくいのも特徴のひとつです。
また、現在は都市の中心部や駅周辺は、たいてい商業ビルや住宅で埋まっていて、マンションを新たに建てられる土地はほとんど存在しません。

しかし古いマンションは、土地が潤沢にあった頃に建てられてため、立地の良い物件が多いのが特徴です。交通インフラが充実していたり、地盤が良い場所に建っていたりする物件も目立ちます。
立地の良いマンションは需要が高いため、売却条件も良い傾向にあり、この点でも「築古物件は資産価値が安定している」という根拠になっています。

築古マンションのデメリット(仕様の古さと老朽化)

古い建物は、現代のライフスタイルとは異なる価値観に基づいて設計されているため、今を生きる私たちの生活にはそぐわない部分もあります。
たとえば天井の高さが、現在のマンションの平均的な天井高は2.4メートルですが、それよりもかなり低かったり「室内に大きな梁(はり)が見えて圧迫感がある」「遮音性や断熱性が不充分である」といった問題です。

耐震性についても、現行の耐震基準を満たしていない物件が多いです。
地震の多い我が国(日本)では、建築基準法によって、すべての建物に一定の耐震基準を満たすことが義務付けられており、この耐震基準は時代の変化とともに更新されてきました。
現在は震度6~7でも倒壊しない「新耐震基準」が適用されていますが、1981年以前は震度5程度の地震を想定した「旧耐震基準」が適用されていました。

また、建物や設備の老朽化も心配です。「躯体が弱り、バルコニーや壁の一部が崩落した」というニュースを聞いたことのある方も多いことでしょう。
それほど重大なケースは、頻繁にはありませんが、配管の経年劣化によって赤錆が出たり、水漏れしたりというケースも考えられます。

しかし、これらを理由に「だから、古いマンションは買うべきではない」と結論づけるのは早急です。

専有部分、つまり住戸の中の問題は、リフォームやリノベーションによって解決することができます。たとえば、天井の仕上げを変えて天井高を上げる、防音リフォームや断熱リフォームを行うなど。

他方、共有部分は個人で勝手にリフォームすることはできません。躯体に手を加えたり、外壁を塗り替えるなどの工事は認められていないのです。
躯体や基礎の老朽化、共用設備の故障などは個人で解決することが難しいため、物件選びの段階で問題がないかどうかをしっかりチェックする必要があります。
購入前に建物の管理状態を確認することで「買ってはいけない物件」を回避することができるからです。

耐震性についても同じことがいえます。
古い建物の中にも、新耐震基準並み、或いはそれ以上に頑丈につくられた建物は存在します。耐震基準適合証明といって、耐震診断を受けて「新耐震並みである」と認められているマンションもあります。

とはいえ、地震による倒壊のおそれは、建物構造だけでなく立地条件の影響も大きく、一概に「新耐震だから安心」「旧耐震だから危険」と言い切れるものではありません。
ハザードマップも併せて確認し、地域の安全性も調べた上で、住むエリアを決定することをおすすめします。

マンションの寿命と建て替え問題

そもそも、マンションはいつまで住めるのでしょうか?

RC造マンションの法定耐用年数は47年です。しかし、これは不動産収入に課せられる所得税の課税額を計算するための概念のため、実際の建物の寿命とは異なります。
それでは、実際の建物の寿命はどうかというと、コンクリート建築の歴史がまだ浅いため、諸説あって一口には言えないのが実状です。

欧米では100年以上、現役の住宅として住まわれている石造りの建物も珍しくありません。しかし日本とは気候風土が異なるため、同じに考えて良いのか、という疑問も残ります。

国土交通省「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書(http://www.mlit.go.jp/common/001014514.pdf)によると、RC造の住宅の平均寿命は68年。
他方、東京カンテイの調査(https://www.kantei.ne.jp/release/PDFs/80TR_life%20span.pdf)では、これまでに建て替えられたマンションの平均築年数は33年という結果が出ています。

マンションの建て替えが検討される要因としては、建物の老朽化はもちろんですが、エレベーターがないマンションで居住者の高齢化が進み、生活利便性を著しく損ねている、あるいは耐震性の問題から建て替えが求められた事例もあります。

しかし、国土交通省の平成28年の調査(http://www.mlit.go.jp/common/001081473.pdf)によると、建て替え準備中と建て替え中のマンションは合わせて252件ほど。
建て替えが実行されるには高いハードルがあり、「建て替えの必要があるのに住民(区分所有者)の反対などによって議論が進まないマンション」も増えてきており、社会問題となっています。

そういうマンションは、概して日々のメンテナンスも適切に行われていないケースが多いようです。
建物の外壁は紫外線や風雨のダメージを受けます。給排水配管の寿命は25~30年ほど。エレベーターや貯水設備も定期的な保守点検が欠かせません。
こうした修繕を管理組合がきちんと行っているか、管理状態をチェックすることが、古いマンションを購入するとき非常に重要になってきます。

築古マンションなら「イチワプロパティ」