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《共用部分の使用》ケーススタディ(判例)

《共用部分の使用》ケーススタディ(判例)

▼コープ戸山台事件〖東京地方平成3・3・8判事1402号55頁・半タ765号207頁〗

Aは東京都内にあるマンションコープ戸山台の管理組合集会において管理者に選任された者、Bは同マンションの区分所有者である。同マンションの区分所有者Cは使用に支障を来していた既存の湯沸器を取り替えるべく、建物の共有部分であるその壁柱にガスバランス釜(幅35㎝、長さ50㎝、厚さ10㎝、重さ14.5㎝)を取り付けた。

そこで管理組合は、Cに対し再三にわたり配管類を撤去し、貫通孔を現状回復するように要求したが、Cはこれに応じなかった。そこで上記穿孔等の行為は、区分所有法6条1項に定める建物の保存に有害な行為にあたると主張し、Aは管理者として区分所有法57条1項により、Bは区分保有者の保存行為として上記穿孔等につき復帰工事をなすよう求めたほか、不法行為による損害賠償として本件訴訟行為のために支払った弁護士報酬の支払いを求めた。これに対してChaA,Bの本訴訟請求は権利濫用である旨主張した。

▼判決要旨

判決は要旨「区分所有法57条により行為の結果の除去を求めるその行為とは、建物の保存にとっての被害が現実に生じている場合に限定されるものではない。区分所有者が独自の判断により悪影響を及ぼさないと考えて、共用部分に変更を加えることが現実的に建物に害を加えていなくても有害となるおそれがある以上、区分所有者の共同利益に反する行為ということができる」とし、Cの権利濫用の主張に対しては、「区分所有建物(マンション)の保守い維持のためのには個人の判断による勝手な行動とは許されず集会の決議を経なければならないという原則は守らなければならない」として、「現実の被害の発生はなくても、そのことをもって権利濫用の理由とすることはできない」としている。

 判決は、「既存の湯沸器の使用障害は、直ちに日常生活に支障を来しているわけではないし、Cだけでなく他の区分所有者にも問題が生じていた既存の湯沸器問題について管理組合において対処の検討を重ねており、ガス会社から判決策が示されていたのにCはこれを無視して本件行為に及んだもの」と認定し、配管やバランス釜などの撤去と貫通孔を塞ぐ工事をすることを命じ、弁護士費用の請求についてこれを容認した。

▼解説

区分所有法は6条1項で『区分所有者は、建物の保存に関する有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない』と定めており、同法57条『区分所有者が第6条1項に規定する行為をした場合には、他の区分所有者の全員または管理組合法人』、管理者(同法26条4項)は、その行為の差止請求ができる旨規定しています。本件の判決では、区分所有法57条によえいその行為の結果の除去を求めることができるのは建物の保存にとって有害な状態げ現実化している場合に限定されないと判示し、本件該当行為の結果の除去を認める判断を示しています。
 さらに判決は、配管やバランス釜の撤去だけでなく貫通孔をセメントで不作ことまでを命じており、この点は画期的といえます。区分所有法57条に規定する『行為の結果の除去』には元の状態に戻すこと(現状回復義務)も含まれるとの解釈を示した裁判結果となっています。



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